多発性硬化症の方の保険と告知ポイント

多発性硬化症は根治が難しい疾患であるため、一般の保険への加入はできません。ただし治療をして寛解すれば、引受基準緩和型の保険への加入を目指せるでしょう。

引受基準緩和型の保険を
トライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
一般の保険 基本的に加入はできません。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって加入できます。
無選択型の保険 基本的に加入できます。

一般の保険の場合の告知

多発性硬化症の場合、一般の保険の加入は困難です。ただし、引受基準緩和型の保険であれば、症状によって加入できる場合もあります。保険会社に正しく査定してもらうためにも、以下の情報を正しく告知することが大切です。

<告知上のポイント>

  • 正式診断名
  • 入院の有無
  • 症状(四肢の麻痺、視力障害など)と最後の症状消失時期
  • MRI検査の異常の有無
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、無選択型の保険もあります。無選択型の保険に加入するかどうかは、症状や病気の進行度合いに応じて担当のFPとも相談して判断するのがよいでしょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、多発性硬化症だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

多発性硬化症は、中枢神経系の白質に炎症性脱髄病変が多発し、色々な神経症状が再発と寛解を繰り返す病態です。症状が多岐であることや、経過が長期にわたるため、一般の保険への加入が困難となります。

多発性硬化症とは

多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)とは、中枢神経系の白質に炎症性脱髄病変が多発し、色々な神経症状が再発と寛解を繰り返す病態です。
病変の空間的多発性と症状の時間的多発性があることが、多発性硬化症と呼ばれる所以です。

■ 多発性硬化症の症状
多発性硬化症の有病率は、人口10万人あたり8~9人程度で、15歳から50歳の女性に好発し、20歳代後半がピークです。
症状は、急激な視力低下、かすみ目、中心暗点を起こしますが、数週間で軽快し、一定の時間後に再発します。その他次のような症状が起こります。
眼球運動障害として、複視、眼球の解離性運動障害(MLF症候群)
錐体街路障害として、四肢の脱力・筋力低下、腱反射亢進、バビンスキー兆候陽性
感覚障害として、しびれ、三叉神経痛、レルミット(Lhermitte)兆候
自律神経障害として、排尿障害
小脳障害として、運動失調、振戦、眼振、構音障害
精神症状として、多幸感、抑うつ
有痛性強直性けいれんなどの症状が出現しては、再発と寛解を繰り返します。
■ 多発性硬化症の治療
多発性硬化症の治療は、薬物療法が主です。
急性増悪期は、速やかにステロイドパルス療法を施行し、無効症例には血液浄化療法を行います。
寛解期の再発予防として、インターフェロンβ(INF-β)を投与し、免疫機構や炎症の調節を行います。
また、痙縮に対するジアゼパム、有痛性強直性けいれんに対してカルバマゼピンなどの投与による対症療法も行います。

2017年9月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。