白内障の方の保険と告知ポイント

基本的に手術後で症状が回復していれば一般の保険への加入も条件付で可能となることもあります。何より定期的に健診を受け予防することが大切です。

まずは一般の保険から
トライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
一般の保険 症状・治療状況により、特別条件付で入れる場合があります。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって入れます。
無選択型の保険 基本的に入れます。

一般の保険の場合の告知

<告知上のポイント>

  • 正式な病名(老人性、外傷性など)
  • 罹患期間と治療内容(点眼薬)
  • 手術の有無(あれば時期と手術名)
  • 左右の別
  • 基礎疾患の有無(糖尿病など)
  • 現在の視力
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、無選択型の保険加入への可能性もあります。症状や病気の進行度合いに応じて、できるだけ条件のよい保険に入れるようにしましょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、白内障だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

白内障とは

目の中の水晶体(レンズ)が濁る病気です。眼底に光が届きにくくなり、視力低下を引き起こし、霞んで見える状態になります。

■ 白内障の主な症状
厚生労働省の患者調査(平成17年)によると白内障の総患者数は約128万8千人にのぼり、眼科疾患患者数で一番多い人数となっています。これに緑内障が続きます。また糖尿病性網膜症は、基礎疾患に糖尿病があるために眼科疾患に分類されませんが、890万人の糖尿病患者の半数弱は糖尿病性網膜症に罹患しています。したがって白内障と糖尿病性網膜症が、眼科疾患において大きな割合を占めると考えられます。糖尿病患者数の増加と人口の高齢化にともなって、高度視力障害リスクとなる糖尿病性網膜症と入院・手術リスクとなる白内障はいずれもが増加傾向にあると考えられます。
特に白内障の手術は、日本の眼科手術の約半数(約80万件)を占めています。両眼に起こることが多く、手術後の予後は良好です。日本では失明原因の6位です。
特に眼球中のレンズが濁る病気が白内障です。眼の中のレンズが濁ることにより、視力低下を起こし、濁りの程度や性状により個人差があるものの次のような症状がでます。
  • 1:霞んで見える
  • 2:明るいところへ出ると眩しく見えにくい
  • 3:調整しても眼鏡の度が合わない
  • 4:ぼやけて二重・三重に見える
もちろん白内障だけでは、痛みや異物感・充血などの症状がでることはありません。
■ 白内障の検査・診断
白内障の検査としては、視力検査、眼底検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査、屈折検査、角膜形状解析検査、視野検査などを行います。水晶体の混濁の程度を直接観察できる細隙灯顕微鏡検査は有用です。細いスリット状の光を当てて角膜や水晶体を観察します。
■ 白内障の治療
白内障の進行を予防するだけの保存的治療として、点眼薬と内服薬があります。点眼薬には、カタリン、カリーユニなどのピノレキシン製剤とタチオン、グルタチオンなどのグルタチオン製剤があります。いずれも水晶体の蛋白変性を阻害することで不溶性蛋白の増加を抑制します。内服薬には、唾液腺ホルモン製剤、チオブロニン製剤(チオラ)、アルドース還元酵素阻害剤(キネダック)、八味地黄丸(作用機序不明)などが使用されています。点眼薬と内服薬の保存的治療は、白内障の進行を予防するだけなので根治的治療にはなりません。
白内障の外科的治療として白内障手術(水晶体再建術)があります。この手術では、水晶体嚢にある水晶体の核と皮質を超音波で粉砕後吸引する水晶体超音波乳化吸引術を行い、直径6mmの眼内レンズを折りたたんで挿入する眼内レンズ挿入術を実施します。1985年頃より普及し1992年4月に保険適応になりました。現在では、水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を合わせた白内障手術は、日帰りから1週間程度の入院で行われています。白内障の手術自体は局所麻酔で20分程度ですが、基礎疾患や合併症などの治療を併せて行うこともあります。角膜切開や水晶体嚢の前嚢切開による炎症は約2週間で回復します。 眼内レンズには従来の単焦点眼内レンズと、多焦点眼内レンズがあります。多焦点眼内レンズは、遠くと近くが見える遠近両用レンズで2007年に認可され、2008年7月に先進医療技術名66番「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で先進医療として承認されました。
従来の単焦点眼内レンズでは、手術後は眼の調節機能がなくなるため、焦点があう範囲は限定され、完全な老眼状態になります。通常の場合、術後は少なくとも1種類以上の眼鏡(老眼鏡など)が必要になります。これに対し多焦点眼内レンズ挿入では、老眼年齢であっても眼鏡に依存しない生活が可能となります。
先進医療技術として承認された多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術の多焦点眼内レンズは、無水晶体眼の視力補正のために水晶体の代用として眼球後房に挿入される後房レンズである点では、従来の単焦点眼内レンズを用いた白内障手術と変わりはありません。
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術では、手術・レンズ代が自費診療となり、手術前後の診察・投薬は保険診療となります。一般に片眼の白内障手術費用が30~35万円前後とかなり高額です
白内障の手術は、高度な医療技術と手術に携わる医療関係者の努力によって年々進歩し、大多数の白内障患者さんにとって視力を回復することができる安全な手術となりました。手術後に次のような合併症を起こすことがあります。術後早期では、角膜浮腫、虹彩炎、眼内炎、眼圧上昇などが起こることがあります。軽微なものであれば1~2週間程度で改善します。
嚢胞様黄斑浮腫は、中心視力に大事な網膜の黄斑部に一時的に浮腫が生じるもので、2週間から1か月、それ以降に発症することもあります。自然治癒もありますが、緑内障点眼薬(プロスタグランジン関連薬)の副作用、糖尿病性網膜症、網膜血管の閉塞などが原因の場合は適切な治療が必要です。
最も多いのは後発白内障です。眼内レンズを挿入した水晶体嚢の後ろ(後嚢)が手術後1~2年で濁ってくる合併症です。視力低下を起こした場合に、YAGレーザーを用いることにより外来で簡単に治療できます。
その他に、網膜剥離、硝子体出血、眼内レンズ脱臼(落下)などの視力障害を生じる合併症が起こることもあります。
■ 白内障の原因
ヒトの眼球はよくカメラに例えられますが、水晶体はカメラのレンズに、網膜はカメラのフィルムに当たります。わたくしたちが見ている景色は、外部の光がレンズである水晶体を通過し、眼の網膜とよばれるスクリーンに到達して写しだされるためにものが見えています。この光が通過する道筋には、眼球の一番外側から順に角膜、前眼房水、水晶体(レンズ)、硝子体が存在します。これら器官をまとめて通光器とよびますが、通光器のいずれかに障害が起こると視力低下が起こります。もちろん網膜剥離や眼底出血などにより網膜に障害が起きても視力低下が起こります。
白内障は、水晶体の中の蛋白質が変性することにより起こります。つまり白内障での水晶体混濁の増加は水晶体内のαクリスタリン蛋白変性に伴う不溶性蛋白増加が指摘されています。これにより水晶体は黄白色っぽく濁るため、昔から白内障は「しろそこひ」とよばれています。したがって白内障が進むと周囲の景色は黄白色のフィルターがかかったように見えます。
白内障で最も多いのは加齢に伴う老人性白内障です。60歳代で70%、70歳代で90%、80歳以上になるとほぼ100%に白内障による視力低下が認められます。その他の原因としては、眼の外傷(外傷性白内障)、アトピー性皮膚炎、糖尿病(糖尿病性白内障)、栄養失調、遺伝、放射線、赤外線照射、ステロイド 剤・抗精神病薬などの副作用、ブドウ膜炎などの眼疾患による続発性白内障、網膜剥離や硝子体手術、緑内障手術の後などにも白内障は進行しやすい傾向があります。生まれつき水晶体に濁りのある先天性白内障の場合もあります。

<白内障の発症率>

40代50代60代70代80代〜
10-20%約60%約70%約90%100%

2013年5月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。