C型慢性肝炎の方の保険と告知ポイント

基本的にC型慢性肝炎の方は保険には入りにくいですが、治療状況によっては、保険加入の可能性も出てきます。

まずは一般の保険から
トライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
一般の保険 症状・治療状況により、入れる場合があります。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって入れます。
無選択型の保険 基本的に入れます。

一般の保険の場合の告知

C型慢性肝炎などの現症であれば、医療保険と生命保険ともに保険加入は難しいものと思われます。インターフェロン治療によってHCV -RNAの排除に成功した既往症であれば、保険加入の可能性もでてきます。C型肝炎ウイルス等の臨床検査データを含む主治医診断書の取寄せが望ましいでしょう。

<告知上のポイント>

  • 初めてC型慢性肝炎と診断された時期
  • 肝機能検査結果(GOT, GPT,γ-GTP)
  • HCV-RNA定量
  • 腹部超音波検査の所見
  • インターフェロン治療の有無と時期
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、引受基準緩和型の保険加入への可能性もありますし、無選択型の保険もあります。症状や病気の進行度合いに応じて、できるだけ条件のよい保険に入れるようにしましょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、C型慢性肝炎だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

肝炎の炎症状態が継続すれば、徐々に線維化が進み肝硬変へと移行します。進行によっては肝機能が徐々に低下し、結果として肝不全に至り、肝細胞の破壊と細胞分裂を繰り返すことで発癌のリスクが高まりまるためです。

C型慢性肝炎とは

慢性肝炎とは、肝臓の持続性炎症が6ヶ月以上続く病態を言います。その際、脂肪肝、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎などを除外します。日本では70%強がC型肝炎ウイルス(HCV)、約20%がB型肝炎ウイルス(HBV)によるものと言われています。

B型肝炎とC型肝炎ともに慢性化後、肝炎の炎症状態が継続すれば、徐々に線維化が進み肝硬変へと移行します。トランスアミナーゼの上昇が6ヶ月以上継続し、ALT(GPT)がAST(GOT)より高値になります。線維化の進行により肝機能が徐々に低下し、結果として肝不全に至ります。また、肝細胞の破壊と細胞分裂を繰り返すことで発癌のリスクが高まります。

C型肝炎ウイルスは、1989年米国のチュー(Que Lim Choo)らによって発見されました。従来からA型肝炎とB型肝炎についてはよく知られていましたが、それ以外のウイルス性肝炎は非A非B型肝炎と呼ばれていました。この非A非B型肝炎と診断されていた患者の9割以上およびアルコール性肝障害と診断されていた症例の半数以上が、C型肝炎ウイルスによる肝機能障害であることが後に判明しました。

現在、日本のHCVキャリア患者数は150万~200万人と推定されています。HCV感染が一度成立すると、健康成人への感染であっても、急性の経過で治癒するものは約30%であり、感染例の約70%でHCV 感染が持続し、慢性肝炎へと移行します。つまりC型肝炎は慢性化しやすいわけです。

慢性化した場合、ウイルスの自然排除は稀であり(年率0.2%)、HCV感染による炎症の持続により肝臓の線維化が起こり、肝硬変や肝細胞がんへと進展します。

■ C型慢性肝炎の主な症状
C型肝炎ウイルスに感染し、急性肝炎を起こしても、一般に自覚症状が乏しい場合が多いものの、発熱・食欲不振・倦怠感・悪心・嘔吐が出現します。血液検査では、肝機能障害と高ビリルビン血症が見られます。
■ C型慢性肝炎の原因
針刺し事故などのHCV (C型肝炎ウイルス)の感染による肝機能障害が原因です。
■ C型慢性肝炎の検査・診断
肝生検にて門脈域の線維性拡大、小円形細胞浸潤がみられ、門脈域辺縁に限界板の破壊(piecemeal necrosis)という肝細胞の変性・壊死がおこりグリソン鞘と門脈域の境界が壊れた状態になった場合に慢性肝炎と病理学的に診断します。ウイルス学的には、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によりHCV-RNA(+)であればC型慢性肝炎と確定診断されます。
定期健康診断や人間ドックでは、スクリーニング検査として感度の高いHCV抗体検査を行うのが一般的です。HCV抗体(+)のとき、次にHCV抗原検査、続いてHCV-RNA検査を行います。
C型肝炎ウイルスの活動性を判断するために、ALT(GPT)、AST(GOT)などの肝機能検査も行います。この検査は肝細胞が破壊されている程度を示してくれます。活動性のC型慢性肝炎の場合には、GPT>GOTのパターンの肝機能障害を示します。肝硬変となった場合には、GOT>GPTの肝機能障害となります。さらに高度な肝硬変となるとGOT, GPTともに低値となりますが、これは破壊される肝細胞が無くなったことを意味します。
また肝硬変へ進展していくと門脈圧が上がり、脾臓への血流が増えるために脾臓の機能亢進により血小板が多く破壊されるようになります。この結果として血液中の血小板数減少が起こります。すなわちGOT, GPTともに基準値内となり、血小板数が数万以下であるときは、肝硬変が進行していることを示唆しています。
■ C型慢性肝炎の治療
C型慢性肝炎の主な治療は、抗ウイルス療法と呼ばれるインターフェロンと抗ウイルス薬を併用した治療方法と、グリチルリチン製剤での治療です。C型慢性肝炎の抗ウイルス薬にはリバビリン製剤を用います。グリチルリチン製剤は強力ネオミノファーゲンCという肝細胞膜安定化作用のある製剤を用います。
fig_chronic_hepatitis_c_02 インターフェロン(interferon; IFN)による治療は、1986年にホッフナグル(JH Hoofnagle)らが、非A 非B 型肝炎に対してヒト組み換えIFNαを投与し、肝逸脱酵素であるトランスアミナーゼの正常化を確認したことに始まりました。欧米と日本ではそれぞれ1991年と1992年から、C型肝炎に対するIFN治療薬の臨床使用が開始されました。このIFN治療によってHCV-RNAの排除に成功した症例では、肝炎が鎮静化することが示さました。
さらにこうした症例では、肝病変の進展や肝がんの発生が抑制されることも明らかになりました。 C型肝炎は60~80%がC型慢性肝炎へ移行、約20年の経過で約30~40%が肝硬変に進行し、その年率約7%に肝細胞がんが合併すると言われています。
C型肝炎ウイルスには、6つの遺伝子型が確認されています。日本では遺伝子型1b(Ⅱ)が約70%、2a(Ⅲ)が約20%、2b(Ⅳ)が約10%と見られます。IFN治療は2a型に効果が高いようです。

2012年9月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。