脳卒中の方の保険と告知ポイント

基本的に症状が回復していれば一般の保険への加入も条件付で可能となることもあります。主な要因となる血圧を適正値に保つことが重要です。

まずは一般の保険から
トライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
医療保険 症状・治療状況により、特別条件付で入れる場合があります。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって入れます。
無選択型の保険 基本的に入れます。

一般の保険の場合の告知

<告知上のポイント>

  • 正式病名
  • 診断時期
  • 服用薬剤名
  • 入院の有無
  • 手術の有無
  • 後遺症の有無
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、引受基準緩和型の保険加入への可能性もありますし、無選択型の保険もあります。症状や病気の進行度合いに応じて、できるだけ条件のよい保険に入れるようにしましょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ころで、脳卒中だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

脳卒中は、四肢の感覚障害や片麻痺などの運動障害などの後遺症を残す重篤な疾患です。また再発や寝たきりとなり、通常の社会生活が営めなくなります。このような理由から、生命危険の高い脳卒中の方は保険加入が困難です。

脳卒中とは

脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などに分類される脳血管疾患の一般的な総称で、医学用語では「脳血管障害」と呼ばれています。脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳実質に血液が届かなくなり、脳の神経細胞が障害され、急激に意識障害や半身麻痺・言語障害などが起こす病気です。

■ 脳卒中の主な症状
脳卒中の症状は、突然起こります。夜中にトイレに起きた時や、朝、目覚めた時に異常に気づくか、昼間、仕事中に急におかしくなるような場合で、発症日時を明確にできることが多いようです。具体的には、片麻痺、意識障害、四肢の感覚障害、運動障害などがあります。
脳卒中の前兆を示す初期症状としては、呂律が回らない、食事中に箸を落とす、片目が見えない、手足がしびれるなどがあります。
■ 脳卒中の原因
脳卒中を起こす最大の原因は、高血圧と加齢と言われています。
米国のNational Institute of Health(NIH)による脳血管障害の分類は次のとおりです。
  • 1:無症候性
  • 2:局所性脳障害
    • a.一過性脳虚血発作(transit ischemic attack; TIA)
    • b.脳卒中
      • (1)脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)
      • (2)脳出血(皮殻出血、視床出血、脳幹出血、小脳出血)
      • (3)くも膜下出血(SAH)
      • (4)動静脈奇形(AVM)からの頭蓋内出血
  • 3:脳血管性認知症
  • 4:高血圧性認知症
注)上記の分類には外傷によるものは含まれません。脳卒中とは、脳血管に急激な破綻(閉塞や出血)を起こすことにより、意識障害と神経系脱落症状(運動・知覚障害など)が急激に起こる病態です。
脳梗塞とは、脳血管内にコレステロールの塊ができたり、血栓が流れてきて脳血管を詰まらせたり、脳動脈が硬化して詰まることにより起こる疾患です。
TIAは、脳梗塞の前駆症状と考えられています。その症状は24時間以内に消失します。さらに24時間以上続いていて、3週間以内に完全に消失するものを可逆性虚血性神経脱落症状(reversible ischemic neurologic disability; RIND)といいます。
脳出血とは、脳内において、脳動脈あるいは脳動静脈奇形が破れることにより、脳内で出血を起こす疾患です。
■ 脳卒中の疫学・症状・経過
平成23年厚生労働省発表の人口動態統計によると、脳血管障害は全死因の4位となりました。ちなみに脳血管障害の順位は、昭和55年までは1位、平成22年までは3位でした。脳血管障害死亡で占める割合は、脳梗塞60%、脳出血25%、くも膜下出血10%強、一過性脳虚血発作など5%未満となっています。以前は脳出血が多くみられましたが、近年、高血圧治療が上手くいくようになってからは脳出血が減少しました。一方、脂質異常症や糖尿病が増えたために血管が詰まる脳梗塞の方が多くなりました。 脳卒中の危険因子としては、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・大量飲酒・心臓病などが考えられています(下図参照)。 脳血管障害の症状としては、脳梗塞で片麻痺・感覚障害・構音障害・失語・失認・意識障害、脳出血で頭痛・意識障害・失語・失認・片麻痺・感覚障害が観察されます。
■ 脳卒中の検査・診断
脳出血の診断にはCT検査が有用ですが、脳梗塞の診断には向きません。というのもCT検査は、脳梗塞の病変描出については発症後少なくとも 24時間以上経過しなければ、変化としてとらえられにくいこと、脳幹や後頭蓋窩の病変は描出困難だからです。この点で脳梗塞の早期診断にはMRI検査が有用ですが制約条件も多いです。たとえばバイタルサインが不安定、頭部に金属がある場合、心臓ペースメーカー装着の患者には適応できません。
発症後3時間以内の超急性期の脳梗塞の場合には、血栓溶解療法を念頭に置いて脳血管造影検査を行います。また、若年者の脳血管障害では、特殊な基礎疾患の有無を確認できます。
その他急性期治療のために、血液生化学・凝固能検査・心電図検査・X線検査などの一般的検査が行われます。
■ 脳卒中の治療
脳出血では開頭手術により血腫を除去します。ただし視床出血・脳幹出血では手術適応外のことが多いです。
脳梗塞では、発症後からの経過時間や原因により治療が異なります。急性期の治療としては、次のものがあります。
  • a)血栓溶解療法または血管内治療
  • b)脳保護療法
  • c)抗血小板療法
  • d)抗脳浮腫療法
慢性期の治療としては、次のものがあります。
  • a)危険因子の管理
  • b)抗血小板療法
  • c)外科的治療
脳卒中による死亡は減少傾向にありますが、脳卒中患者は増加傾向にあります。寝たきりとなる原因疾患の1位を占めています。

2013年10月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。