椎間板ヘルニアの方の保険と告知ポイント

椎間板ヘルニアの方は、死亡保険であれば無条件で加入できる可能性があります。いっぽう、医療保険は条件付で一般の保険に加入できる場合があります。

一般の
保険をトライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
一般の保険 治療状況・経過年数により入れる可能性があります。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって入れます。
無選択型の保険 基本的に入れます。

一般の保険の場合の告知

死亡保険は、無条件で加入できる可能性があります。一般の医療保険は、手術の有無や治療期間により条件付きで加入できる可能性があります。保険会社に正しく査定してもらうためにも、以下の情報を正確に告知することが必要です。

<告知上のポイント>

  • 正式な病名(「腰痛」「坐骨神経痛」は症状であり、正式な病名ではありません。)
  • 椎間板ヘルニアの部位(少なくとも頸部なのか腰部なのか。どの椎骨と椎骨の間か。例① L4(第4腰椎)とL5(第5腰椎)の間、例② L5(第5腰椎)とS(仙骨)の間など、骨には名前がついているので詳細に書いてあるほど適確な査定評価が行われます。)
  • 治療内容と治療期間(入院期間)
  • 手術の有無(あれば手術名)
  • 診療機関名
  • 発病した日と診断日
  • 再発・合併症・後遺症の有無

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、無選択型の保険もあります。無選択型の保険に加入するかどうかは、症状や病気の進行度合いに応じて担当のFPとも相談して判断するのがよいでしょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、椎間板ヘルニアだと保険に入りにくくなるのはなぜ?

椎間板ヘルニアの場合、手術予定がなければ生命保険加入に大きな問題はありません。医療保険は、入院手術の可能性があるため、加入に際して部位不担保の特別条件付きとなることが多いです。手術後、一定の期間が経過していれば無条件加入の可能性もあります。

椎間板ヘルニアとは

背骨の骨(椎体)と骨(椎体)の間にある椎間板と呼ばれる軟骨が変形することで、椎間板の中身である髄核が突出し、神経を圧迫して激しい痛みや痺れを引き起こします。頸で起こるものを頸椎椎間板ヘルニア、腰で起こるものを腰椎椎間板ヘルニアと言います。椎間板ヘルニアを「ヘルニア」とだけ呼ぶ人がいますが「ヘルニア」とは体内の臓器などが本来あるべき部位から脱出した状態を言い、椎間板ヘルニアのほかにも鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア・臍ヘルニア(=でべそ)・食道裂孔ヘルニアなどがあります。

■ 椎間板ヘルニアの症状
頸椎椎間板ヘルニアは30~50代に、腰椎椎間板ヘルニアは20~40代に多くみられます。頸椎椎間板ヘルニアは、脊髄や神経根に影響します。脊髄が障害を受けた時は手や足の動作に影響が出ます。箸を持ったり字を書くことが難しくなったり、歩幅が狭くなる・階段の昇降がしづらいなどです。神経根が障害を受けた場合は片側または両側の手足のしびれ、脱力などの症状が出現します。手足の末端ほど強いしびれが感じられます。
腰椎椎間板ヘルニアは症状の多くは片側に起こり、腰から下肢の後ろ側に沿って痛みます。これが坐骨神経痛とよばれる症状です。症状が強いときは背骨をまっすぐにして立つこともできないくらいの腰痛と足のしびれ、痛み等が起こります。腰椎椎間板ヘルニアの症状で最も多いのが片側の下肢痛ですが、安静にしていると軽快するのが特徴です。しびれなどの感覚障害や運動神経麻痺による筋力低下、部位が下位の場合、排尿障害が起きることもあります。これを馬尾症候群といいます。またヘルニアが巨大な場合には、両側に症状が生じたり、より重症である脊柱管狭窄症と同じ間欠性跛行を呈したりします。間欠性跛行というのは、一定距離を歩くと下肢に痛みを感じて歩けなくなるのですが、少し休むと痛みが軽減してまた歩けるようになる、という症状です。腰椎椎間板ヘルニアは、この髄核が後方に飛び出すことで神経根が圧迫され、腰痛や坐骨神経痛を起こすものです。髄核が飛び出すのは、第四腰椎と第五腰椎の間または第五腰椎と仙椎の間がほとんどです。
■ 椎間板ヘルニアの治療
以前は、一度飛び出た腰椎椎間板は自然に戻ることはないと思われていました。しかし、近年、MRI検査の普及などによりヘルニアの病態が解明されつつあり、一部のヘルニア(サイズが大きいヘルニア、破裂し遊離したヘルニア)では、自然に消退縮小することもわかってきました。一般的に、椎間板ヘルニアの70~90%程度が保存的治療により軽快すると考えられています。痛む時は「安静第一」。そのほか保存的治療法には、鎮痛剤・牽引療法・装具固定(コルセット・頸椎カラー)・理学療法(温熱療法、電気刺激療法)などを行います。痛みに対しては、ブロック療法(神経根ブロック、硬膜外ブロック、いわゆるブロック注射というものを頸や腰に打ちます)を行います。痛みが激しい場合には、2〜3週間の入院を必要とすることもあり、絶対安静で持続牽引やブロック治療を行います。
保存的治療を3カ月間行っても症状が改善されない、日常生活に支障があるとき、つまり我慢できない強い痛みで日常生活が著しく制限される場合に手術の適用となります。 頸椎椎間板ヘルニアでは手足のしびれや脱力症状が強くなるなど脊髄症状が増強し、画像上も脊髄圧迫・浮腫などのダメージがあれば手術を検討します。手術は大きく分けて前方法と後方法があります。前方法は椎体と椎間板の組織を削ってヘルニアを取り出し、そこにできた隙間にほかから採取した自分の骨を移植する方法です。後方法は脊柱管狭窄がみられる場合に多く選択される方法で、後ろから脊柱管を拡大して脊髄の圧迫を開放します。また神経根症の場合は保存的治療が主となります。
腰椎椎間板ヘルニアでは、運動麻痺や膀胱直腸障害などの緊急を要する症例では手術が検討されます。膀胱直腸障害とは、尿意がわからなく失禁したり、肛門の筋肉が麻痺して締りがなくなる病態です。しかし腰椎椎間板ヘルニアに対して通常の手術を行っても1割弱が再発するというデータがありますが、内視鏡下椎間板切除術(microendoscopic discectomy; MED)や経皮的内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術(percutaneous endoscopic laser discectomy; PELD)などの新しい手術療法が開発されています。

2018年6月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。