ネフローゼ症候群の方の保険と告知ポイント

ネフローゼ症候群の方は、一般の保険への加入は難しいでしょう。ただし、治療をしていれば、引受基準緩和型の保険への加入を目指せる可能性はあるでしょう。原因疾患に慢性腎炎や膠原病などがあることから、これらの疾患の重症度によっても査定は変わります。

引受基準緩和型の
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保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
一般の保険 基本的に加入はできません。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって加入できます。
無選択型の保険 基本的に加入できます。

一般の保険の場合の告知

ネフローゼ症候群の場合、一般の保険への加入は厳しくなります。ただし引受基準緩和型の保険であれば、症状・治療状況によって加入できる可能性があります。保険会社に正しく査定してもらうためにも、以下の情報を正確に告知することが大切です。

<告知上のポイント>

  • 正式病名(腎疾患の病型、原因疾患)
  • 治療期間と再発の有無
  • 治療内容
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、無選択型の保険もあります。無選択型の保険に加入するかどうかは、症状や病気の進行度合いに応じて担当のFPとも相談して判断するのがよいでしょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、ネフローゼ症候群だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

ネフローゼ症候群は、一時的に快方に向かう寛解と再発を繰り返します。一生涯付き合っていく可能性のある病気であるため、基本的に一般の保険への加入は困難となります。原因疾患に慢性腎炎や膠原病などがあることも加入を困難にしています。

ネフローゼ症候群とは

ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)とは、尿に糸球体からの大量の蛋白尿を来し、低アルブミン血症や浮腫が出現する腎疾患群です。
このうち、原因疾患があるものが二次性、明らかな原因疾患がないものが一次性ネフローゼ症候群です。

一次性ネフローゼ症候群を起こす主な腎疾患の病型には次のようなものがあります。

  • ・微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change nephrotic syndrome; MCNS)
  • ・膜性腎症(membranous nephropathy; MN)
  • ・巣状分節性糸球体硬化症(focal glomerulosclerosis; FGS)
  • ・膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis; MPGN)

上記の腎疾患の中で小児期に多いものが、微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)で、ネフローゼ症候群を呈する原発性糸球体腎炎です。
腎生検で、光学顕微鏡検査所見はほぼ正常の糸球体像ですが、電子顕微鏡検査にて足細胞足突起の融合性変化を示します。
小児ネフローゼ症候群では微小変化群が70~80%を占め、成人ネフローゼ症候群では20~30%を占めます。
好発年齢は3~9歳の小児や若年者で腎障害の既往はありません。
低蛋白血症となるため急速に浮腫が出現してきます。

■ ネフローゼ症候群の症状
一次性ネフローゼ症候群を起こす腎疾患の中で、微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)38.7%と膜性腎症(MN)37.8%が太宗を占めています。
ネフローゼ症候群の症状は、大量の尿蛋白に起因します。
その結果としての低アルブミン血症・低蛋白血症からの浮腫と体重増加、さらに高度の場合には胸水や腹水が起こります。
その他には、腎機能低下、脂質異常症(高LDLコレステロール血症)、凝固線溶系異常とそれに伴う血栓症、免疫異常症とそれに伴う感染症などを伴います。
また、治療による合併症としての症状も重要です。
副腎皮質ステロイド剤治療による骨粗鬆症と胃潰瘍。
免疫抑制薬併用で感染症リスクの増加。
特に高齢者では、免疫抑制剤治療に伴う感染症死も少なくないです。
■ ネフローゼ症候群の治療
ネフローゼ症候群の治療は、腎疾患の病型によります。
微小変化型ネフローゼ症候群には、一般に副腎皮質ステロイド薬が有効です。
ステロイド剤に対する反応は良好で大部分数週間の治療で寛解します。
しかし再発も多いです。
病初期には浮腫の改善をするために利尿薬を投与します。
微小変化型ネフローゼ症候群のうち、糸球体から分子量の小さい蛋白のみが漏れる尿蛋白選択性が高いものほどステロイド治療の効果が高いです。
寛解後5年間は再発リスクが高く、ストレスや疲労、日焼けや風邪をひくなどを契機として再発する場合があります。
40歳以上の成人に多い膜性腎症には、軽症であれば保存的治療が行い、蛋白尿の減少が見られない場合には、ステロイド剤と免疫抑制剤または抗血小板療法や抗凝固薬などのカクテル療法を行います。
膜性腎症の3分の2は徐々に進行し、3分の1は自然完解します。5年生存率は75%との報告もあります。

2018年4月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。