パーキンソン病の方の保険と告知ポイント

一般に生命保険加入は困難で、高度保険料割増から不承諾となります。医療保険等は加入不可です。

まずは一般の保険から
トライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
一般の保険 症状・治療状況により、特別条件付で入れる場合があります。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって入れます。
無選択型の保険 基本的に入れます。

一般の保険の場合の告知

パーキンソン病であれば、医療保険と生命保険ともに保険加入は難しいものと思われます。生命保険については、病気の重症度によって高度割増保険料にて加入できる可能性がありますが、医療保険の加入は困難と考えられます。

<告知上のポイント>

  • パーキンソン病と診断された時期
  • 振戦の有無(左右または両手の別)
  • 歩行障害の有無(すくみ足、小刻み歩行、加速歩行)
  • 精神症状の有無(うつ状態など)
  • 定位脳手術の有無と時期
  • 服用している薬剤名
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、引受基準緩和型の保険加入への可能性もありますし、無選択型の保険もあります。症状や病気の進行度合いに応じて、できるだけ条件のよい保険に入れるようにしましょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、パーキンソン病だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

パーキンソン病は、大脳にある中脳黒質緻密質のドーパミン分泌細胞の変性が主な原因の難病です。症状は徐々に進行し、重症になると知的障害を伴い、介護が必要な状態になることもあります。

パーキンソン病とは

パーキンソン病(Parkinson’s disease)とは、やる気の物質である脳内のドーパミン不足を原因として、錐体外路症状を示す神経変性疾患です。本疾患と二次性にパーキンソン病様症状を来たすものを総称してパーキンソン症候群といいます。またパーキンソン病に進行性核上性麻痺と大脳皮質基底核変性症を加えてパーキンソン病関連疾患とも呼ばれ、難病に指定されています。

■ パーキンソン病の主な症状
人口10万人あたり毎年約100~150人発生するといわれています。神経変性疾患の中で一番頻度が高く、厚生労働省の患者調査(平成20年)で患者数13万9千人と報告されています。好発年齢は50~70歳代と中高年期以降に発病します。
症状は、安静時振戦(resting tremor)・筋固縮(rigidity)・無動(akinesia)が特徴です。安静時振戦とは、じっとしているときに一側上肢または一側下肢のふるえが出現することです。無動により、顔の表情変化が乏しくなり(仮面様顔貌)、動作がゆっくり(動作緩慢)となります。また書字が徐々に小さくなります。姿勢反射の障害が起こるため、立位では前傾姿勢となり転倒しやすくなります。筋固縮では、受動運動時に手関節の歯車様抵抗がみられます。歩行障害として、すくみ足、小刻み歩行、加速歩行などが見られます。その他に、便秘、排尿障害、起立性低血圧、脂漏性皮膚(あぶら顔)、発汗過多などの症状が見られます。
精神症状としては、感情鈍麻、快感喪失、不安、うつ症状、精神症候(特に幻視)、認知障害を合併すること多いです。
■ パーキンソン病の検査・診断
上記のような特徴的症状、CT検査やMRI検査で特異的異常がなく、L-ドーパ投与で症状が改善するとき、パーキンソン病と臨床診断します。確定診断は、病理組織診断によります。パーキンソン病の病期診断としては、Hoehn-Yahr分類やパーキンソン病統一スケール(unified Parkinson’s disease rating scale; UPDRS )があります。下表にHoehn-Yahr分類を示します。
段階症状解説
1度一側性パーキンソニズム
2度両側性パーキンソニズム
3度軽度~中等度のパーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要。
4度高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
5度介助なしにはベッド又は車椅子生活
■ パーキンソン病の治療
薬物療法と運動療法が治療の中心となります。多剤併用の薬物療法では、レポドパ(L-dopa)、ドパミンアゴニスト、抗コリン薬、アマンタジン、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬、ゾニサミドなどが用いられます。
薬物治療を行ってもコントロール困難な場合には、脳深部刺激療法(deep brain stimulation therapy; DBS)などの手術療法を行うこともあります。
近年、変性した神経を再生させる遺伝子治療や幹細胞移植などの研究も行われています。
■ パーキンソン病の原因
中脳黒質緻密質のドーパミン分泌細胞の変性が主な原因です。この神経変性の原因は不明ですが、一部に病因となる遺伝子が同定されています。またミトコンドリアの機能障害が原因とする仮説もあります。その他、頭部外傷、薬物、毒物が原因となることがあります。

2012年12月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。