下肢静脈瘤の方の保険と告知ポイント

基本的に症状が回復していれば一般の保険への加入も条件付で可能となることもあります。極度の下肢のだるさ、むくみなどあれば、受診することが重要です。

まずは一般の保険から
トライ!

保険加入の可能性

<保険タイプ別の加入可能性>

保険タイプ 加入の可能性
医療保険 症状・治療状況により、特別条件付で入れる場合があります。
引受基準緩和型の保険 症状・治療状況によって入れます。
無選択型の保険 基本的に入れます。

一般の保険の場合の告知

<告知上のポイント>

  • 正式な病名と左右下肢の別
  • 現在の状態(後遺症なく完治か、あるいは治療中か)
  • 手術の有無(分かれば術式)
  • 医療機関名

上記、注意点に従って告知しても、もちろん病状によっては加入は難しいでしょう。そのような場合でも、引受基準緩和型の保険加入への可能性もありますし、無選択型の保険もあります。症状や病気の進行度合いに応じて、できるだけ条件のよい保険に入れるようにしましょう。

正しい保険検討手順については「3ステップ検討法」へ

ところで、下肢静脈瘤だと保険に入りにくくなるのはなぜ?

下肢静脈瘤があると、一般に医療保険は両下肢の部位不担保となります。これは、医療保険加入後に手術する可能性が高いからです。深部静脈血栓症、動静脈瘻、深部静脈弁不全症などの原因となる基礎疾患があると加入はより困難です。手術等で後遺症なく完治していれば、医療保険も加入できるでしょう。

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とは脚に美容的問題を引き起こす疾患の1つです。アガサクリスティーの小説に素敵な脚をした女性の話がありますが、ミセス・マープルが「彼女は素敵な長い脚をしている」とコメントします。特に女性にとって脚が美しいことが美人であることの一つかもしれないので、十分に注意が必要です。

■ 下肢静脈瘤の主な症状
下肢静脈瘤の頻度は、15歳以上の43%に何らかの静脈瘤が見られ、30歳以上になるとその頻度は62%以上に上昇します。 こむらがえり、下肢のだるさ、痛み、むくみ、かゆみなどの自覚症状に加え、静脈拡張、色素沈着、湿疹、血栓性静脈炎、潰瘍などの皮膚病変を主症状にすることが多いです。無症状での来院は美容的な問題が多いようです。なお、関節症状は起こりません。
下肢静脈瘤の危険因子は、
  • 1:女性
  • 2:50歳以上
  • 3:妊娠・出産
  • 4:長時間の立ち仕事
  • 5:遺伝
などです。
■ 下肢静脈瘤の検査・診断
下肢静脈瘤は、視診と触診により臨床的に診断可能ですが、血流と血管の状態をより詳しく調べるために、ドップラー検査、超音波検査、下肢静脈造影検査などを行います。なお、下肢静脈瘤の種類としては、伏在静脈瘤、側枝静脈瘤、網目状静脈瘤とクモの巣状静脈瘤の4種類に分類されます。
■ 下肢静脈瘤の治療
下肢静脈瘤の治療は、下肢の静脈に対する外科手術と血管内カテーテルを用いたレーザー治療が主体となってきました。以下にこれらを簡単に説明しましょう。
圧迫療法
医療用の弾性ストッキングや弾性包帯で、下肢に適度な圧力を与えて、余分な血液がうっ滞することを予防し、下肢の深部静脈(下肢静脈の本幹)への血液の流入を助ける治療法です。圧迫療法は、あくまでも進行防止・現状維持が目的です。
ストリッピング手術(Babcock法)
下肢静脈瘤の根治療法として古くから行われている手術で、弁不全をおこしている静脈を引き抜いてしまう手技です。抜去される静脈のまわりにある知覚神経に障害を与えることがあります。近年では硬化療法との併用も行われています。
高位結紮手術
弁不全を起こしている静脈とその本幹である深部静脈との合流部を結紮し切り離す方法です。
硬化療法
静脈の中に、硬化剤という薬剤を注入し、静脈の内側の壁と壁を癒着させるか、血栓をつくり詰めてしまう方法です。
静脈弁形成術
大伏在静脈や深部静脈に対して、静脈弁形成術が行われます。血管内視鏡下静脈弁形成術が多いようです。
レーザー手術
レーザー手術には、皮膚表面からレーザーを照射するレーザー硬化療法と血管内から行う血管内レーザー焼灼術の2種類の手術があります。
レーザー硬化療法は、医療用のヤグレーザー機器を使用し、身体の外からレーザーを照射して静脈瘤を閉塞させる治療法です。主に、クモの巣状静脈瘤などの小さな静脈瘤に適用されます。従来の硬化療法と併用されることもあります。
血管内レーザー焼灼術は、静脈内に極細のレーザーファイバーを入れて、血管内壁を熱で焼いて閉塞させる手術です。太い血管の伏在静脈瘤や側枝静脈瘤に有効です。
一部の血管内レーザー焼灼術以外は、健康保険の適応はありません。つまりレーザー治療は自費診療となります。また、民間生命保険の医療保険によっては、血管内レーザー焼灼術は四肢の血管内カテーテル治療に該当するために、手術給付金の支払を受けられないものがありますので注意が必要です。
■ 下肢静脈瘤の原因
下肢静脈瘤(varix of the lower extremity)とは、下肢の静脈の壁の一部が何らかの要因で薄くなり、その血管が膨らんで、血液が滞ることで起こる病気です。下肢の血液は、筋肉の運動により心臓へ戻ってきます。静脈には、重力による血液の逆流を防ぐための弁があります。この静脈弁が正常に閉じなくなり、血液が逆流することによって下肢静脈瘤は起こります。明らかな基礎疾患がない一次性静脈瘤と原因が明らかな二次性静脈瘤に分けられます。後者の原因となる基礎疾患には、深部静脈血栓症、動静脈瘻、深部静脈弁不全症などがあります。

2013年8月末現在の情報に基づいた内容となります。

本ページは、(株)ASSUMEの監修により作成しています。

病気、保険の告知等に関する情報については、典型的なケースを想定して記載したものであり、個別の症例、保険査定、加入条件等とは異なる場合があります。判断の目安としてお役立てください。詳細については、生命保険会社または医師等にご確認ください。